Storm and Stress Interview: case of Ian Williams on electric guitar
いつ、そしてどのような理由でストーム・アンド・ストレスを始めたのですか?
94年の終わりに。ケヴィンのドラムを気に入ってたからね。それで始めたんだ。
ドン・キャバレロとの違いは?
この2つのバンドは全く正反対の位置にいると思うんだ。その両方をやるってのが凄い意味があることに思えてね。俺がロックに関して思うのは(2つとも俺達にとってはロックだよ)、それをかたちづくる上で重要なものがドラムだってこと。だからふたりのドラマーの間の違いってのが一番のポイントなんだ。ドンキャバでは曲のなかで巡ってくるターンを予想して、より速く、より強く叩いてる。全く疑う余地もなく完璧にね。一方ストーム・アンド・ストレスでは、いつでも音を被せて来られるよう(フローティング)、曲の隙間を埋めちまわないように開かれた状態をキープしてるんだ。(フローティングってのは、決め打ちしないでってことだよ。)そうしてゆっくりと衝突してゆく余地を残しておくんだ。以前は俺はこれを「スローモーション・カー・クラッシュ」ってふうに呼んでたとおもう。凶暴なものを美しくみせて、それをもともとの意味から切り離してゆくんだ。君がまさにいまそうかんじたようにね。
どこに住んでいるのですか?
ここ1年半ぐらいニューヨークに住んでるよ。その前はシカゴに3年いて、またその前はピッツバーグって感じかな。
いま何歳?
31歳。
これまでにどんなバンドに影響をうけてきたのでしょうか?
——無回答
ベース・アンプでギターを鳴らすというアイデアはどこから?
クリアな音。俺がギターの音色に求めるものはそこにあるね。流行のディストーションなんかじゃない。格好つけた音なんかじゃない。まっすぐでむき出しの音が欲しいんだ。ロックがその歴史の30年のうちに着飾ってきたものを脱ぎ捨ててね。
どうしてあんな高いポジションでギターをプレイしているの?
ハートでプレイしたいからね。ギターを上に抱き込むとそうしやすいんだ。マシンガンを高く構えるのにも感覚が近いかな。愛するように、そして(マシンガンで)殺戮をするかのようにプレイするんだ。
レコーディングのことを教えてください。雰囲気や技術やプロセスなどについて。
あれをスタジオ作品と捉えるのは完全にあのレコードを誤解してるね。未来的なロックのアイデアとリー・スクラッチ・ペリーへの郷愁とを取り違えてるよ。俺たちはあのレコードで少し前進してみせただけなんだ。あれは全て編集なしのワンテイクさ。ベースではじまってドラムをマルチパートに多重録音、で、ギターがじゃーんって鳴って、はい終わり、って部分を除けばね。皆がスタジオ作品だと言うようなテイクはあれ一曲だけだし、それにただ、卓のミュートボタンでドラムのパートを抜き挿ししてそういう効果をだしてるだけだよ。それにあと、ギターを編集してラフで神経症的な部分を際立たせてるな。ああ、そうさ。その曲とラストの電話の音声だけはオーヴァーダブになってるよ。でもこれじゃ、大層なスタジオ技術なんかだとは言えない。俺は音楽をスタジオというタームを通して見てやいないし、ただ俺たちはギター、ベース、ドラムによって生まれたこれらの楽曲がより生きるように、ほんのすこし再構築してみたってだけなんだよ。
もうひとつ注意しておくよ。あのレコードではファッキンなチェロなんてものはすこしも使っちゃいないぜ。糞!なぜ皆、クレジットにジム・オルークの名をみつけたからって、彼が室内楽のミュージシャンを連れてきたにちがいない、なんて早合点をするんだろ。あれはエリックがヴォリューム・ペダル使ってそれ風にベースで演奏してるだけなんだぜ。
スティーブ・アルビニとジム・オルークとの違いは?
そうだな、スティーブは車を運転するけど、ジムには出来ないな。
曲を書いたり演奏したりするうえで、最も重要なことは?
以前、俺の友人ともいえるノーマン・メイラーって奴が言ってたな。ノンフィクション小説を書くのは歌を歌うことのようで、逆に創作するのは曲を書くことのようだってね。(彼はそのふたつを何か登山のようなものとも比較してたわけだけれども)
あなたの音楽のなかで「うた」はどのくらい重要ですか?
俺たちはストーム・アンド・ストレスのなかで即興なんて言葉を使ったりはしないぜ。会話のなかでたまに「おい、ざっとやっ (imp) ちまおうぜ」とか言う程度のことで、誰も気に留めちゃいないさ。俺たちがやるべきことのなかでは、さして重要な格付けじゃない。でも楽曲に関する一般論からいつも離れようとしようとしてる、ってのはある。皆、俺たちに対してすぐに即興って言葉を持ち出そうとするからな。数年前に俺が言った言葉で、レコードのレビューを書くようなライターからすごく注目されたのがあるんだ。それは“意識して忘れること”。俺はこの言葉がすごく気に入ってたんだ。本物の音楽に対して使われるべき言葉だからね。ドンキャバできちきち音楽を進行させてるのから比べれば、それは遠く離れてる。少なくとも俺のなかではね。いつも「ここだぜ!ほらやれ!」って感じだったから…。でもパートを忘れちまうってのは全てを台無しにしちまうことにもつながるし、それは前にも言ったような空気感にも関係してくる考え方なんだ。ある空気を漂わせておくこと(フローティングの意?)と意図的な何かを放棄することにはたくさんの共通点がある。意図的なものを抑制するのと即興とは近しい親戚のようでもあるけれど、全く同じではないんだ。即興とは言うならば、宣言さ。何かを探すためのね。しかし、ここには宣言なんてない。ただ逃れるのを待ってるんだ。でも、いま俺が言ったことの全ては、俺たちが毎夜演奏してる方法論においてのみイコールなんだってことは言っておくよ。
音楽のなかでなにが歌われているのですか?
Jaoa Gilberto sauve. Beautiful delicacy in midst of the slow motion car crash. The vogue of the moment when those records were made was millenial angst. I was trying to go with that, this is the end of everything.
あなたたちの音楽には——特に二枚目のアルバムについては——電子音楽的な要素を強くかんじます。それにかんしてどう思いますか?
俺たちは冷めた美学を追求してるんだ。しかしここで指摘しておきたいのは、俺たちが、ギター、ベース、ドラムっていうひどく伝統的なロックトリオでそれをやってのけてるってこと。たとえば楽器をほとんど鳴らさないでいたとしたら、奴らはこう言ってくるだろう。「おい、こっちは人間なんだぜ!(聞こえるようにやれよ!)」そしたらこう言い返してやるさ。「失礼!、俺たちゃ人間じゃないんでね!」
——編注:Devo のアルバムタイトル「Q: Are We Not Men? A: We Are Devo!」をもじった発言であると思われます。
最近興味をもっているアーティストを教えてください。もちろん音楽じゃなくても構いません。
映画は好きだよ。本や芸人なんかもね。写真なんかもちょっといいな。今日の優れたアーティストっていうものは皆、それぞれ異なった魅力を持ったものの集まりなんだ。俺が思うには、奴らは他の多くの文化やエンターテイメントが混在したなかで自分を証明するってことがいかに重要かを理解してるはず。その証拠に、今じゃロックヒーローなんていないだろ。ほんとにくだらないし止むを得ないことだけど、レオナルド・ディカプリオなんていい例だ。奴は一般の皆々さまに文化的なあれこれを与える、魅力的なバッドボーイに祭り上げられてる。そして俺たちは本物のロッカーとは何ぞや?とか考える以前に、彼について考えるよう強要されてるんだ。あいつはどのみち、フレッド・ダースト(Limp Bizkit)と食事でもするにちがいないよ。
日本のアーティストについてはご存知ですか?
声を大にして言わせてくれるかな。竹村延和にアシ・ツヨコ!。そして池田亮司だ!。
——編注:アキ・ツユコのことだと思われます
日本でプレイすることに興味はありますか? 私たちはあなたの演奏が日本で観られることを期待しています。
ああ。行きたいね。
——ありがとうございました。
Fri, 03 May 2002 12:38:29 -0400
Storm and Stress Interview: case of Eric Emm on electric bass
いつ、そしてどのような理由でストーム・アンド・ストレスを始めたのですか?
ストーム・アンド・ストレスは94年にスタートしたんだ。自分達がかつて聴いたことのなかったような音楽がつくりたかったからね。ドン・キャバレロにはその合間に参加したんだ。あれは春だったかな。
ドン・キャバレロとの違いは?
ストーム・アンド・ストレスはダイナミックで、デリケート。そして抑制が効いてて美しいんだ。ドンキャバのほうはもっとアグレッシブで、みんなハードにプレイしてて、座り込んだりなんてしない感じ。
どこに住んでいるのですか?
イアン(・ウィリアムス)と僕はふたりともピッツバーグで生まれたんだ。ケヴィン(・シェー)の父親は軍にいてね、彼の家族は国中あちこち渡り歩いてたらしい。だから彼はどこで生まれたんだかはっきりしないんだけど、多分ミネアポリスなんじゃないかな。今現在僕はフィラデルフィアに住んでて、イアンとケヴィンはニューヨークにいるよ。
いま何歳?
いま、26歳。でもそのわりには老けてるかな。
これまでにどんなバンドに影響をうけてきたのでしょうか?
ビートルズやストーンズ、ツェッペリンにサバス、ヴァン・ヘイレン、U2やREMなんかで育ったんだ。で、大きくなってからは、ワイアー、ギャング・オブ・フォー、mission of burma、ソニック・ユース、ダイナソーJR、ノイ!、カン、ファウスト、henri gorecki、スティーブ・ライヒ、ジョン・ケージ、フェイヒィ、フィリップ・グラス、メルツバウ、ペンギンカフェ(・オーケストラ)、マイルス、コルトレーン、オーネット・コールマン、アルバート・アイラー、(ブライアン・)イーノ、レナード・コーエン、ニック・ドレイクなんかかな…。で、いまに至る、と。
あなたのイクイップメントについて
ヘッドがベース用のアンペグSVTとギャリエン・クルーガー800で、それをギター用のマーシャルとディーン・マークリーの4×12スピーカーで鳴らしてるんだ。
イアンはどうしてあんな高いポジションでギターをプレイしているのでしょう?
きっと彼(イアン)は、この方が弾きやすいから、って答えるんじゃないかな?
レコーディングのことを教えてください。雰囲気や技術やプロセスなどについて。
最初のアルバムをつくったとき、僕らはそのときの自分自身のプレイをまさに盤に焼きつけるような感じにしたかったんだ。それがアルビニと仕事した理由だね。でも後になってそれが間違ったアプローチだったことに気付いたんだ。楽曲を殺してしまって、レコーディング前まではあったはずののびのびとしたところや、儚げな部分を削いでしまった。だからセカンドのときには、僕らは曲を書いたりレコーディングについて考えたりするのになるべく時間を費やさないようにしたんだ。オルークも仕事のとき、現場でのひらめきを重んじるほうだしね。彼はほんとに音楽にたいして誠実で、皆にいいかんじの活力を与えてくれたんだ。ほんとにあのアルバムには満足してるよ。ファーストのときにはこれほどまでやった!って思ったことはなかったな。
——編注:ライブ感あるレコーディングで知られるアルビニの手法が、実は生々しさを演出するために逆に手の込んだものになってしまっていることを指摘している?
スティーブ・アルビニとジム・オルークとの違いは?
スティーブはレコーディングのとき自分から積極的に関わろうとはしないんだ。ジムは逆にのってくる方。スティーブはマジで痩せてて、ジムはちょっぴりデ(以下略)。でもふたりともすごいクレバーで頭がよくって、で、すごい面白いんだよ。
曲を書いたり演奏したりするうえで、最も重要なことは?
歳をとるにつれて、音づくりを分析的にみなくて済むようになったな。ストーム・アンド・ストレスでそれをやって、実際嫌な思いをしてるから。いまは音づくりを楽しむようにしてるよ。だってそれがほんとに僕がやりたかった唯一のことなんだから。
あなたの音楽のなかで「うた」はどのくらい重要ですか?
MTVはほんとに全てのルールを変えてしまったよ。物事をすごい短いスパンで消費しちゃうような、ある世代を作ってしまったようにね。「うた」について考えたりって実際しないけど、それがあるってことはわかってるよ。
音楽のなかでなにが歌われているのですか?
ねえ、彼女、待ってよ彼女、終わりにしようっての? 聴こえないよ? もしもし?
あなたたちの音楽には——特に二枚目のアルバムについては——電子音楽的な要素を強くかんじます。それにかんしてどう思いますか?
ベースのサウンドを別の楽器のように変えちゃうことに興味があるんだ。例えばテクノのプロデューサーが(アナログシンセの)パッチを組み上げるようにね。
最近興味をもっているアーティストを教えてください。もちろん音楽じゃなくても構いません。
アンドレアス・グルスキーやinigo manglano-ovalle、クローネンバーグやアトム・エゴヤンとかのカナダのアートハウス・シネマ、サティ、ニコ、ジョナサン・フランゼンの「コレクション」(これはいますごい人気あるよね。)、あと、MTVでやってる「オズボーンズ」は芸術的だし、文化的に重要だよ。綺麗だし。
日本のアーティストについてはご存知ですか?
ポカリスエットとか、日本のものは好きなのいっぱいあるよ。ヒロ・ヤマガタ、鉄人シェフ・森本、竹村延和、ルインズ、ゼニ・ゲバ、アキ・ツユコ、Boris、アサノ・コウジ、池田亮司とかも。
日本でプレイすることに興味はありますか? 私たちはあなたの演奏が日本で観られることを期待しています。
今年の後半には日本に行こうと思ってるんだ。ライブやるの、協力してくれる?
——ありがとうございました。
Wed, 10 Apr 2002 16:01:42 -0400
概要
元 Don Caballero 、現 Battles の Ian Williams 、 Golan Globus の Erich Ehm 、Coptic Light/Love of everything の Kevin Shea による “ロック・トリオ”。 97 年にスティーブ・アルビニ・プロデュースによる 1st アルバム、“Storm and Stress” を発表。続いて 00 年に発表された 2nd 作ではあのジム・オルークを起用し、インディペンデントな音源を扱う輸入盤店バイヤー、音楽ライターなどを中心に高い評価を得る。極めてエクスペリメンタルでいびつな音像を醸しながらもエモーショナルなコードを常にキープ。シーンには類い稀な高い音楽性を誇る。
推薦文
ストーム・アンド・ストレスの音楽の内容には、求めていたけど今まで何を聴いてもなかなか得られるものではなかった、絶えず満ち溢れている感覚、がたっぷりとあった。 通常は新しく聴くジャズに期待はするが、ほぼ満足したことの無かったような、僕が求めるジャズ的超充実。 いちいち味わい深い渋ポップな音の粒がたくさんたくさん興味深い飛び散り方でそれぞれの関係を編む。 全方位へ拡散しているようでありながら目的はしっかりひとつに団結している。こんなに自由感をアンサンブルさせられてる音楽って他にあるの? あったら楽しい。でもめったになかろう。 素晴らしいバンドだ!——スッパ・マイクロ・パンチョップ
作品紹介
Storm and Stress
97 年作、1st アルバム。フリーインプロヴィゼイションとエモーショナルなロックアンサンブルが交錯する唯一無二のサウンドへの第一歩。暗く狭い部屋のなかで振動するスネアと、息を殺して会話する弦楽器。それらはお互い機会を探りあって、遂には一気に高みへと解放される。スティーブ・アルビニ・プロデュース。
Touch & Go/1997
Under Thunder and Fluorescent Light
ジョン・フェイヒィからトータスへと至る米国音楽の歴史を、冗長なだけの所謂ポストロックとは別の地平から俯瞰した、近年稀に見る快作。フリーに疾走するドラム、電子音様に変換されたベースとフィンガータッピング奏法によるギターが織りなすエクスペリメンタルな空間が、問答無用に感情を揺さぶるエモーショナルな楽曲と見事に同居している。ジム・オルーク・プロデュース。00 年作。
Touch & Go/2000

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